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【トレンドウオッチ】 バイオ燃料の生産・政策動向について
バイオ燃料の生産・政策動向について
株式会社NTTデータ経営研究所 社会・環境戦略コンサルティング本部 マネージャー/加島 健)1.バイオ燃料の生産動向
地球温暖化対策の一つとして世界各国において導入が進められているバイオ燃料(biofuel)は、世界全体で見ると生産量・消費量ともに急激に伸びている。特に、既に実用化されており、「第一世代」と言われているバイオエタノール、バイオディーゼルの伸びは著しい。バイオエタノール生産量は2005年から2009年の4年間で約2.3倍に、バイオディーゼル生産量は2005年から2009年の4年間で約4.4倍に増加しており、2010年はバイオエタノール・バイオディーゼルともに対2009年比で10%以上の増加となっている。なお、バイオエタノールは生産量の9割をアメリカ及びブラジルが、バイオディーゼルの生産量の半数はEUが占めている。
図表1:世界のバイオエタノール及びバイオディーゼル生産量の推移
出典: World energy outlook 2006 及び2010をもとに筆者加工
IEAの2010年レポート(world energy outlook 2010)によると、バイオ燃料の消費量は、2035年では各シナリオにより対2009年比で約3.2倍~約7.3倍まで増加を予測しており、直近にて公開された2011年レポート(world energy outlook 2011)においても、対2009年比でみると同様の伸びを予測しており、バイオ燃料の生産量は拡大傾向が続くと考えられる。
なお、バイオ燃料の生産動向は各国の地球温暖化対策や環境産業振興政策などの政策動向が大きな影響を与えていることから、諸外国のバイオ燃料に関する政策動向を注視することが重要だ。
▼関連コンテンツ
・2011年08月31日: 世界のバイオ燃料生産量は2010年に17%増加
・2011年10月04日: バイオディーゼル生産が前年比倍増ペースに
2.欧米のバイオ燃料に関する政策動向
(1)アメリカ
アメリカでは、2005年エネルギー政策法(Energy Policy Act of 2005)にもとづき定められた「再生可能燃料基準(RFS:Renewable Fuel Standard)」にて、石油会社に対して2012年までに最低75億ガロンの再生可能燃料を市販の自動車用燃料に配合することを義務付け、その後、2007年12月に制定されたエネルギー自立・安全保障法(Energy Independence and Security Act of 2007)にもとづき、2010年3月に公表、7月に施行された再生可能燃料基準(RFS2)では、再生可能燃料の混合義務量を大幅に拡大している。
具体的には、2022年にて先進的バイオ燃料(Advanced biofuel)のうち、セルロース系バイオ燃料(Cellulosic biofuel)で160億ガロン、バイオディーゼル(Biomass-based diesel)で10億ガロン以上などと定めており、バイオ燃料全体で360億ガロンの使用を義務付けた。この使用義務量に関しては、例えば全米学術研究会議がセルロース系バイオ燃料の2022年の使用目標数値(160億ガロン)は、生産目標を達成するためには必要な精製能力が不足していることなどから困難であるなどの見解を示しており、実現するためには多くの課題を解決する必要がある。
なお、アメリカでは、税制優遇措置も生産量に大きな影響を与えており、バイオディーゼルに関しては、バイオディーゼル製造業者への税額控除措置(1ドル/ガロン)が2009年に失効したことによりバイオディーゼル製造に係る事業採算性が急激に悪化し、製造業者の廃業等により生産量が激減、2008年をピークに生産量は右肩下がりとなっていた。しかしながら、2010年に税制控除措置が復活し、2011年末まで措置を適用することとなり、さらには、RFS2にて再生可能燃料の混合義務量を大幅に拡大したため、2011年のバイオディーゼル生産量は、2010年の倍近いペースになっている。
バイオエタノールもバイオディーゼルと同様に2011年末まで税制控除措置が発動されている。具体的には、エタノールブレンダーに対して、45セント/ガロンの税控除を、セルロース系エタノール製造業者に対しては、1.01ドル/ガロンの税控除を実施している。
しかしながら、米国の財政難等を背景に、バイオエタノールの税額控除については、2011年7月から廃止する修正法案が提出されるなど、税制控除措置を延長させないための動向が活発化している。一方で、全米バイオディーゼル協議会は、年末で税制優遇措置を失効させるべきでないと主張し、ロビー活動を続けている。今後の税制優遇措置継続の要否に係る動向から目が離せない。
(2)EU
EUは、2009年6月に発効した再生可能エネルギー導入促進指令(DIRECTIVE 2009/28/EC)にてEU全体で2020年までに全エネルギー消費における再生可能エネルギー割合を20%に引き上げるとともに、EU加盟国の導入目標達成の義務化や運輸部門における再生可能エネルギー割合を10%に引き上げることを謳っている。なお、再生可能エネルギー指令にもとづき、EU加盟国は再生可能エネルギーに関する行動計画を策定しており、2011年2月には、EU加盟国の再生可能エネルギーに関する行動計画を取り纏めた報告書が公開されている。
再生可能エネルギー導入促進指令では、2020 年までに輸送燃料の10%をバイオ燃料由来とするという目標に加え、当該目標達成に使用することができるバイオ燃料の持続可能性基準を定めている。具体的には、GHG 削減水準35%以上(2017年より50%以上)とすること、原則として生物多様性や炭素貯蓄の高い土地で原料を生産しないこと等を定めている。また、欧州委員会が2年毎に、バイオ燃料原料の需要増が食料価格に与える影響や原料生産地での土地利用や労働者の権利に与える社会影響について調査し、欧州議会と欧州理事会に対して報告することとなっており、特に食料価格に関する影響が発覚した場合には、欧州委員会が適切な措置を取る旨を規定している。
現在、EUにて白熱している議論は間接的土地利用変化(ILUC:indirect land use change)だ。間接的な土地利用変化とは、バイオ燃料用作物生産により当該土地で従来生産されていた作物が別の土地で生産されることに伴う土地転換を指し、 2010年に欧州委員会がバイオ燃料に係る間接的土地利用変化に関する報告を発表した。報告では、一定条件化ではあるものの、間接的土地利用変化によるCO2の追加排出を考慮しても、バイオ燃料はCO2排出削減に役立つと結論づけている。なお、間接的土地利用変化がもたらすリスク評価結果は、今年12月または1月頃に発表される見込みである。
▼関連コンテンツ
・2011年11月17日: 欧州委員会はバイオ燃料をめぐる事実に耳を傾ける必要があると、FoEが主張
・2011年10月05日: 米国のセルロース系バイオ燃料の2022年生産目標達成は困難と、全米学術研究会議が指摘
・2011年01月11日: バイオ燃料関連優遇税制を1年延長-失効したバイオディーゼル税制も遡及適用- (米国)
・2010年04月21日: バイオディーゼル業界、優遇税制失効で打撃 (米国)
3.国内のバイオ燃料に関する政策動向
2010年6月に閣議決定したエネルギー基本計画において、バイオ燃料については、「LCA25での温室効果ガス削減効果等の持続可能性基準を導入し、同基準を踏まえ、十分な温室効果ガス削減効果や安定供給、経済性の確保を前提に、2020 年に全国のガソリンの3%相当以上の導入を目指す」と位置付けている。
2010年4月に経済産業省が公表した「次世代自動車戦略2010」では、全体戦略の「アクションプラン」の一つに位置づけられた「燃料多様化」の中に、“バイオ燃料を受け入れる車輛側については、その技術的課題(車輛のE10対応化)は既にほぼ解決されつつあるものの、我が国で生産される自動車の半数程度が海外市場向けに販売されることや、既販車が入れ替わるのに必要な期間に鑑み、まずは新車においてE10対応化を強力に促進する。【2015年までに全ての新車(ガソリン車)において実現】”と記載しているものの、実現までの道のりは遠い状況であると言わざるをえない。
なお、2011年3月の東日本大震災の発生に伴い、現在エネルギー基本計画の見直しが「総合資源エネルギー調査会基本問題委員会」にて行われているが、エネルギーセキュリティ等が議論の中心に位置付けられており、バイオ燃料の扱いは「蚊帳の外」という感じである。
いずれにせよ、世界的に見れば今後もバイオ燃料の生産・消費量は増加傾向が継続することが想定され、企業にとっては、企業活動の制約要因になる要素である一方、新たなビジネスチャンスにも繋がる要素でもあることから、バイオ燃料の政策動向及び生産・消費動向等に注目していくことが必要だ。
▼関連コンテンツ
・2011年10月28日: エネ庁、基本問題委で本格議論、エネ基本計見直し
・2011年10月05日: 政府、中長期のエネ政策検討作業本格化、エネ環会議は月内に行動計画
・2010年04月13日: 経産省、次世代自動車戦略を策定、電池・資源など行動計画
・2010年06月21日: 政府、新エネ基本計画を閣議決定-温室効果ガスを30年に30%削減
▼参考文献
・EPAホームページ
・経済産業省ホームページ
・資源エネルギー庁ホームページ
・環境省ホームページ
・World Energy Outlook (IEA)
・欧州委員会ホームページ
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掲載日:2011年12月14日
投稿者:事務局
















